side*/咲綺


「今日は楽しかったかー?」

怜桜があたしの顔を覗き込んでくる。


「んーとねぇ・・・」

「ん?」

「初恋だった先輩に会ったよ」

「マジで!?」
「んで?んで?」

「別に・・・」

「別にって・・・ぜってー何かあったろ?」


怜桜は興味津々で聞いてくる。


「えー・・・」

言うか迷ったけど、結局言っちゃった。




「好きって言った・・・」

「え、えぇぇぇぇぇぇーッ!?」
「よかったじゃん!」

「でも終わったんだよ?」


すると怜桜はあたしの頭に手を乗せて、


「頑張ったんならそれでOKだよ」


「怜桜───・・・」


怜桜はいつだって優しい。


「先輩、今日は妹さんの
命日だったんだって・・・」

「──・・・え」

「ん、如何かした?」

「その先輩って苗字・・・何?」


怜桜の顔がいっきに曇りだす。


え、何・・・?
怜桜、如何したんだろ・・・。


急に様子の変わった怜桜に
あたしは驚く。

そして怜桜が口を開いた。




「まさか・・・斉藤・・・?」