「お前さー」

急にあたしの事を呼ぶ。

「な、何よ・・・っ!?」

「命は一つしかねぇーんだよ?」
「もっと大事にしろ」


奇麗事ばっかり並べる人が一番嫌い!
あたしの事なんて何も判んないくせして!


「ほっといて・・・っ」
「あたしの命はあたしが決めるのっ!」

「あっそ、好きにすれば?」

「───・・・ッ」


何だか情けないような感じがした。
あたしは悪くない──・・・!


その時、
ぐーきゅるるるるるー


「「・・・えっ!?」」

鳴ったのはあたしのお腹。
あたしは恥ずかしくなって俯く。


「ほら、やるよ!」

そこに差し出してきたのは
甘い香りのする箱。


「え、何・・・」

「んだよ、可愛気ねぇーなぁ」
「やるっ言ってんだから素直に食えよ?」


「・・・」


あたしはその箱を開けた。
すると中にはケーキがいくつか入っていた。

「わぁ・・・っ」

「本当は美和にやるつもりだったけど・・・」

余計な一言。

「じゃぁいいよ!別に・・・」

「ぶはっ嘘だよ!」


「・・・」


あたしはその甘いケーキを頬張った。
イチゴが乗ったそのケーキは何だかちょっと酸っぱかった。


「嘘じゃねーけど・・・」

彼がそう呟いたのも知らず──・・・。