「や、だからさー・・・」

「ん・・・?」


お兄さんの顔がだんだん引き攣ってくる。

「ちょっと・・・来ちゃったー・・・的なぁ・・・?」

怜桜は動揺しまくりで口がごもってる。
そのせいで何か余計に怪しい・・・。


「あたしが・・・っ」


あたしは我慢が限界まで来て前に出た。

「君は・・・」

お兄さんの言葉を遮ってあたしは続けた。

「あたしが病院を出たいって言ったんです!」

「・・・って事は君も病院の子?」

「はい・・・」


すると怜桜があたしの肩を後ろへ
強引に引き寄せた。


「ちげーよ!俺が連れ出したんだよ!」
「んで、俺が勝手に咲綺を連れて来たんだよ!」


ちょっと怒り気味の口調でお兄さんに言い返す怜桜。


「理由はどーであれ普通、病院抜け出す奴がるか!?」


お兄さんはあたし達を叱るような
感じで言った。


「ここにいまーす!」

怜桜はこんな場面でもふざけている。

するとお兄さんは隣に居た女の人を
帰るように言った。


「とにかく、今日は俺が車で送るから・・・」
「さっさと付いて来い・・・」


お兄さんはあたし達を車に乗せて、
病院まで連れて行ってくれた。


病院に戻ると親とかに言うのかと
思ったら、「バレないように行けよ!」
とだけ言ってまた車を走らせていった。


何だかんだであたし達の味方をしてくれたのが嬉しかった。