─ドンッ─

あたしは肩を誰かにぶつけてしまい躓く。


「きゃぁ・・・っ!?」

こけそうになったあたしの手を
怜桜が引っ張ってくれたお陰であたしは
倒れずにすんだ。

「ありがとう・・・」


そしてぶつかった相手の方を見る。

「ゴメンなさい!大丈夫でしたか?」

「あ、こっちこそゴメン」


相手は男の人だった。



「あ、兄貴・・・!?」

会話を破って出てきたのは、
怜桜だった。


「怜桜・・・!?お前、何でここに・・・っ」

「え、お兄さん・・・?」


あたしは二人の会話に着いて行けず、
怜桜に問いかけた。


「うん。俺の兄貴・・・」


ライオンハートの香水が鼻を掠める。
大人の不陰気を漂わせる。

顔はなかなか整っており、隣には
可愛いって言葉より綺麗って言葉の方が
似合う女の人が腕を絡ませている。


「こ、こんにちは・・・っ」

「こんばんは」


あ、挨拶を間違えたーっ!!!!

恥ずかしくて真っ赤になった顔を
気付かれないように下へ向ける。


「ところで、何で怜桜はここに居るんだ?」

その言葉で我に帰る。

「げ、やーその・・・」

「ん?」


お兄さんの顔は笑っているが、
声は怒っている。

なのでかなり怖い・・・。