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「部長。お隣りいいですか?」
社員食堂で、ヘルシー定食と名付けられた低カロリーなおかず達をほうばっていると、マキがやってきた。
「いいよ。どうぞ」
「失礼します」
マキは丁寧に手を合わせたあと私と同じヘルシー定食を食べ始めた。やはり女は気にするもんなんだな、と改めて思った。
「部長って、やっぱり部長ですね」
マキがしみじみと語る。私はそんなマキを見ることもなく、黙々と食事を続けていた。
「さっき、コーヒー出したあと、廊下でちょっと部長の話聞いてたんです。私感動しました。やっぱりさすが部長です」
私は心当たりがあるような、ないような微妙な返事だけしておいた。
「私だったら、あんなうまく後輩叱れないです。厳しく指導したあとは、優しく励ましてあげる。あれが飴と鞭なんですね」
常に無意識で他人と接しているため、こうゆう分析は少し恥ずかしい。特にマキのような仕事のできる人間に言われると余計である。
