「ああ〜もう無理。」
僕は息を切らしながら河原に上がると、草の生えている河原に座り込む。
びしょびしょに濡れて張り付いたカッターシャツがひどく気持ち悪い。
髪の毛からも水がしたたっていて、前髪を思わずかきあげた。
「はあ……楽しかったー!」
宮田さんも短パンの裾を少しつまんで持ち上げながら、笑って河原に上がってくる。
僕の隣に座り込んで同じくびしょびしょな体操服をしぼりはじめる。
「久しぶりにハッスルしたな〜。」
「宮田さん川の中逃げるプロじゃん。全然追いつけない。」
「あはは!結局捕まったけどね〜。」
宮田さんは一度ポニーテールを解いて髪もしぼりながら、僕のほうを見ていたずらっぽく微笑む。
「青春っぽい。」
「やめて、恥ずかしいから。」
「あははは。」
ある程度服が乾くのを待ちながら、河原でぼ〜っとする。
相変わらずまだ夕日までには時間はありそうだけど、少しずつ太陽の光が黄色っぽくなってきた。
夏は暑くて嫌いだけど、透き通ったような雰囲気が好きだ。
セミの声が響いて、熱いアスファルトの上の景色はうねっている。
でもそこには何も汚いものはなくて、通りすぎる車までも夏の景色にしっくりくる。
僕は隣で髪を持っていたらしいタオルで拭く宮田さんを見て、なんとなくつぶやく。
「………宮田さんってさ、7月生まれでしょ。」
宮田さんは弾かれたように僕を見て、相当驚いているようでいつになく目を丸くしている。
その顔に小さく笑ってから、
「どう?当たり?」
と聞くと、宮田さんはこくこくと何度もうなずく。
「そう!そうだよ!すごい!なんでわかったの?」
「あはは、なんとなく、ね。」
「すご〜い。じゃあさ、何日か当ててみて。」
そう言って微笑む宮田さんの顔を僕はしばらく見つめる。
「……………。」
宮田さんもなぜか緊張した面持ちで僕を見つめ返してきて。
僕はしばらくその顔を見つめ、意を決してゆっくりと口を開く。
「今日、かな。」
宮田さんの瞳がまた大きく開く。
僕が答えを待っていると。


