「やべえ!!まじやばい!!」
テストが終わって帰りながら、思いっきり叫ぶ中野に僕は笑った。
「あはは!さっきからそればっかじゃん!」
「やばい!こんなテスト産まれてはじめてかもしんねぇ!!」
「あははは!!」
中野は相当テストの出来がよかったようで、あれだけ朝からごねていたのが信じられないほど上機嫌だった。
「よっし!三宅!この勢いで遊びに行くぞ!!」
「それはおかしいだろ!」
僕の自転車を奪って、後ろに乗れと言わんばかりに笑顔を向ける中野に僕が叫んでいると、
「おーい、君たちうるさいぞ!」
後ろから突然声をかけられ、僕も中野も振り向く。
するとそこには、宮田さんがうでを組んで仁王立ちしいて。
「おー、宮田!!おつかれ!!」
「ゆうちゃんなにごとー?」
呆れたように言いながら、しかし楽しそうに宮田さんが笑う。
僕も同じように笑って、中野を指差す。
「中野さ、テストがかなりできたんだって。」
「ほんと?優秀な先生たちの教育のおかげだね〜。」
「ほんとにそれ。礼のひとつあってもいいよね。」
「ね。」
中野はほんとに上機嫌で、鼻歌を歌いながら僕の自転車で僕と宮田さんのまわりをぐるぐると回っている。
僕はまた笑ってからその自転車のハンドルを掴んで止めた。
「もう落ち着けって。
明日もテストなんだし、帰るよ。」
「おう!!今日も世話になるな!」
中野の言葉に、僕と宮田さんは思わず顔を合わせる。
「……………は?」
僕がそう聞き返すと、中野は逆に驚いたように目を見開いて僕たちを見る。
「なに?今日も三宅ん家で勉強するんだろ?」
「は?いつそんな話に……」
「いいねぇ!行こ行こ!」
「宮田さんまで……」
僕がひとり呆然としていると、
「先に行くぞー!」
なんて言って僕の自転車で勝手に行ってしまう中野。
宮田さんはそれに笑ってから、僕のほうを見つめて微笑む。
「ごめんね、勝手に決めて。」
「まあいいんだけどさ〜。」
「ふふ。
ほんとは今日ね、ちさたちと帰る約束だったんだけど、ドタキャンしてきちゃった。」
「え?なんで?」
「だって……」
僕がそう聞くと、宮田さんは軽い足取りで歩きはじめながら、振り向く。
「だって、3人まで連れていくわけにはいかなかったし。」
「え?」
宮田さんが身体ごとこっちを向く。
「私も……私も、今日も三宅くんの家、行きたかったの。」
少し真剣な顔でそう言ってから、すぐにまたいつもの明るい笑顔になる。
「ゆうちゃんはおまけだけど。」
そう言って笑って前を向き、走っていく宮田さんの背中をしばらく見つめて、僕も家に走った。


