僕はその背中を見送ってから、一度ため息をついて中野を見る。
「ったく、しょうがないな〜。
さすがに今回も赤点だとまずいでしょ。」
すると中野が弾かれたようにこっちを見上げて目を輝かせる。
「お?なになに、泪ちゃんったらやる気に……」
「はいはい。
数学教えてやるからうちに来れば?」
「おー!!!さすが親友!!!」
抱き着きそうな中野を中野のかばんを押し付けてふせいでいると、宮田さんもにこにこと微笑む。
「さーっすが三宅くん。
これでゆうちゃんも脱・再試だね。」
「任せろ!!今回俺は満点とってやる!」
「いや、それは無理じゃないかな……」
またそこで中野と宮田さんが喧嘩をはじめるので、それを放って僕は飯島さんのほうを振り向く。
「ね。どうせみんないっしょなんだから、飯島さんもいっしょに帰ろ。」
すると飯島さんは驚いた顔をして、
「え?いいの?」
なんて言うので僕は微笑む。
「当たり前じゃん。
てかさ、いっしょに勉強する?」
「えぇ?!悪いよ!」
「あはは!中野が一番うるさいんだから、飯島さんが邪魔なわけないじゃん。やろうよ。」
「ほんとにいいの?」
「いいよ。飯島さんがいいんなら。」
飯島さんは一気にうれしそうな顔になって、少しうつむいてから小さくうなずく。
「……うん。じゃあ、お邪魔しようかな。」
それに微笑んでから、いつの間にか喧嘩が終わって何かに爆笑している宮田さんに声をかける。
「宮田さーん。」
「あはは!あははは、はは、はあ〜…。なに?」
「飯島さんもうち来るからさ、宮田さんも来れば?」
「ほんと?!いいの?」
「全然平気。
桜が宮田さんに会いたがってるし。」
「桜ちゃんか〜。楽しみ楽しみ!」
宮田さんは機嫌良さそうににこにこ笑いながら、床に置いたリュックを持ち上げ、中野を引っ張る。
「ほら、そうと決まったらさっそく三宅くん家にしゅっぱーつ!!」
「しゅっぱ〜つ。腹減ったからコンビニ寄ろううぜ。」
「いいね〜。」
そんな2人を追いかけながら、焦って荷物をまとめる飯島さんを待って、
「荷物、持ってあげる。」
「え?でも……」
「いいからいいから。
僕チャリだし、カゴに乗せてあげるよ。」
「…うん。ありがとう。」
またうれしそうに微笑む飯島さんに僕も微笑んで、飯島さんのかばんを持って教室を出た。


