「んー…………まず、僕が……まあ、告白?して…………」
「おぉー!いいね!」
「うるさいな!
で、飯島が『ほんと?』って言うから、ちがうって言ったんだよ。」
「ふんふん。」
「そしたら飯島が、『ありがとう』って………」
「ん?うん。」
「………そんだけ。」
「はあ?!!」
中野はまた口をつけていたペットボトルから思いっきり口を離して叫ぶ。
飛んできたジュースに顔をしかめながら反論しようとするが、中野がそれを許さない。
「はあ?うそだろ?そんだけ?ありえねぇー……。」
「い、いや、しょうがないじゃん!
飯島がすごい挙動不審になっちゃったから、答えを急かすわけにも……」
「それにしても!それにしてもだよ。そこで聞いとかなきゃいつ聞くんだって。」
「それは…………僕だって緊張してたし………」
「次会う約束もしてねぇの?」
「……………まあ。」
「かー!!馬鹿すぎるだろ!」
中野はまたベッドに背中から倒れ込むようにすると、僕を恨めしそうに目だけで見上げる。
「………で?どうすんだよ。」
「ん………どうするって……」
「どうにかしねぇとお前の告白が無駄になんだぞ?」
「それはやだよ!」
「だろぉ?じゃあ考えろ。」
「えぇ〜。」
僕は中野のベッドから降りてあぐらをかくと、顔を両手でこすりながら覆ってうつむく。
外からはセミの声が窓越しに小さく響いて、最高に涼しい部屋とは対照的な暑さを感じさせる。
僕がうめきながら考えている間、中野は悠長にPSPなんかをやりはじめていて。
「………………。」
後ろから聞こえてくる機械音に、もうストレスが爆発しそうに……
「あああもう!!!」
爆発した。
「うぉ……びびった…。なんだよ。決心したか?」
「あ〜………決心…した!したよ!」
「おぉー!泪ちゃんかっこいい!」
「うるさい!」
僕は勢いをつけて立ち上がると、そのまま床に置いた財布をポケットに突っ込んで中野の部屋を出る。
「いってこい!」
中野の声が後ろから聞こえるが、無視。
途中廊下ですれ違ったおばさんが驚いた顔で、
「あら、三宅くんもう帰っちゃうの?」
と聞くので、僕は焦って頭を下げる。
「あ、すみません。また来ます。」
「そう?喧嘩でもしたの?」
「違いますよ!ちょっと用を思い出して……」
「そうなの。また待ってるからね!優太は用でもないと夕方まで寝てるんだから……」
「あはは、じゃあすぐ来ます。」
「ふふ、またね。」
「どうも。」
おばさんにもう一度頭を下げると、僕はサンダルをはいて中野の家を出た。


