少なくともあのころは、楽しい恋愛をしていた。
いつかきっと、彼が振り向いてくれると、信じていたから。
でも………
そこで私はベッドから起き上がった。
このままじゃ、だめだよ。
このまま何もしないで、ただ影から彼を応援しているなんて、絶対にだめ。
彼のためにも、私のためにもよくない。
それにこのままだと。
私は、なっちゃんを嫌いになりそうだから。
家のカギをひっ掴んで家を出る。
ただのTシャツとデニムのショートパンツ。
女の子はみんなが浴衣を着ているだろう中で、私の姿はあまりにもださいだろうけど。
今は何かが私の中で私を急かした。
でも今は夜の8時近い。
静かな通りの中で、ぽつりぽつりと祭から帰ってきたらしい人たちが見える。
もしかしたら、あの2人も帰りはじめているかもしれない。
一か八か。
比較的家から近い祭に向かうか。
一本向こうの通りに行くあの2人の帰り道のほうへ向かうか。
当たっても外れても。
きっと私は泣くだろう。
私は意を決して、ある方向へ走った。
もうあと戻りはできない。
現実を目にしたら、自分が傷つくのは目に見えている。
もしかしたら立ち直ることすらできないほど、心が砕けてしまう可能性だってある。
たった14歳の私には、この恋はあまりにも残酷すぎた。
私の初恋。
初恋の味、っていうのが、すっぱい味だっていうことは知っていたけど、いつかこの恋のことを、すっぱいと感じることができる日がくるのだろうか。
今の私には、苦すぎる。
悲しくて、苦しくて、いまにも崩れ落ちそうな膝に勝を入れ続ける。
不幸しか待っていない先に、私はなんでこんなにも走っていられるのだろう。
ああ、神様。
目の前に、二人で歩く彼らの姿が見えた。


