「道を教えてください」







夕方の路地でそう話し掛けてきたのは背の高い女だった。







足が異様に細くバランスが取れないのかぷるぷると震えている。







同じように手も木の枝のように細く、真っ赤なハンドバッグをぶら下げている。







はあはぁと何度もため息なのか呼吸なのか分からない息を吐き、僕に聞いているはずなのに視線はまったく違う方向を向いている。







「あ…あの。どちらへ…?」







やばい人っぽい。