そう言い返す気力さえも出ずに。 ただ、手を丸くして握り締めることしかできない。 騙された怒りよりも。 胸にこみ上げてくるのは、こんな簡単な罠に 引っかかってしまった、自分の情けなさ。 「でもさ~。何で私の正体に気がつかなかったの~?」 また一歩近づいて、下から顔を覗き込まれる。 「・・っ」