ワがまま王子☆







そう言い返す気力さえも出ずに。

ただ、手を丸くして握り締めることしかできない。


騙された怒りよりも。

胸にこみ上げてくるのは、こんな簡単な罠に

引っかかってしまった、自分の情けなさ。


「でもさ~。何で私の正体に気がつかなかったの~?」

また一歩近づいて、下から顔を覗き込まれる。

「・・っ」