「あんたバカ?」
突然耳元で声がして、さっと後ろを振り向く。
「バッバカって何!?」
不覚にもどきっとした自分が悔しい。
「6分とかこげるから。」
オーブントースターの方に手を伸ばし、タイマーを6分から2分になおす。
「~~~っ」
くっ悔しい・・ッ
キス魔に教えられたことが悔しい・・ッ
「ちょっちょっといつまでここにいんのよッ!?」
タイマーがセットし終わってもまだあたしの後ろに立っているキス魔。
「いつまでって・・未来がいて欲しそうな顔してたから?」
「そっそんな顔してないッッ!!!!!!」
まずいて欲しそうな顔ってなんだよッ!?
やっぱ男って無理。
話すことは必要最低限にしたい。
チンッ
パンが焼ける音がした。
オーブントースターを開け、パンを取り出そうとしたときだった―――
「熱ッ」
電熱線のところに、人差し指があたってしまった。
冷やさな――――――――ッ!?
指に生暖かい感触を感じる。
たったったった食べてるッ
この人あたしの指食べてるッッ!!!!!!!!!!
「やっやめてッ!!」
あたしがそう、さけんでも一向に効果は見られず。
離してくれる気配は、無い。
「あんたじゃなくって、零、だから。」
「・・・・・?」
「零って呼べ。」
「・・・・はぁッ!?」

