「おいひーっ!」

おじさんに頼んで、普通よりひとまわり大きくしてもらったわたあめは

いつもの倍以上甘くってふわふわしてる。

「零も食べる?」

そういってきゅっと小さくつまむ。

「はい!」

口の近くに持っていくと、あからさまに嫌そうな顔をした。

「いらない。」

「えぇっ!?」

行き場のなくなった手を、しかたなく自分の口に持っていく。

いいじゃん

一口くらい食べてくれたってもさー・・

おいしさを分かち合ってくれたっていいのに・・ッ

「未来。」

名前呼ばれたって、振り向いてやんないんだから・・ッ

「みーく。」

この声に、また騙されそうになる。

だけど今日のあたしは少し違う。

この前とは成長したんだから!!

「―――・・・ふっ。」

「ぎゃっ!?」

いきなり顔を覗き込み、耳に息を吹きかけてきた。

はっはっはっは・・・反則でしょ!?

「ななななな何ッ!?」

しっ舌が・・・

回らない・・・ッ

真っ赤な顔のあたしとは対照的に。

平然と笑っている零。

く・・悔しいッ

さっきより大きくわたあめをちぎって、口のなかにほおりこむ。

「ついてる。」

ついてる!?

照れてるの間違いじゃなくて?

頬に感じる生暖かい感触。


「・・っ!?」




いきなり零の顔が近づいて。




頬についたわたあめを、舌の先でなめられた。