「無理。」 ふわっと心地好い香りがした。 「・・何もなかったことにするか、何も言わずに帰るか・・・どっちか選んで。」 二つに一つ。 搾り出したような声。 ばれてるかな? 涙声って、こと。 「俺に抱きしめられるか、キスされるか。選べ。」 やっぱり零は。 あたしの言うことなんて、まるでなかったかのように。 「零はいつもそうやって選ばせ――――――――っッ!?」