「・・・ないっッ・・・ないっッ・・・」

鞄の中のものを一つずつだし。

一つずつ、丁寧にしまう・・・・

何度繰り返しただろうか。

だけど・・

やっぱり、ペアリングはなくて―――――――

「未来、どうしたの~?」

さっき自動販売機で買ったピーチ味のジュースを片手に、覗き込んできた。

「え・・っと・・。」

ダメだ。

これ以上、心配なんてかけられない―――――・・・

「――――――っッ!!」




もし・・・かして。

あのとき・・・

男の子とぶつかったとき、拾い忘れたの――――――?





言葉よりも体が速く動いていて。


あたしの名を呼ぶ花音をおいて。



出発まであと5分というバスを抜け出して。




ただ、走りだしていた――――――――・・・