「ねー、これどーお?」
花音より大きいんじゃないかと思うような、大きい鹿のぬいぐるみを抱き抱えながら、あたしの顔を覗き込んだ。
「えっ!?大きすぎない?」
昨日のことが嘘のように。
明るく、はしゃいだような笑顔で振舞う花音。
泣いて。
泣いて。
泣いて―――――・・・
でもなぜか、昨日の涙は温かくて・・
いつもみたいな、孤独涙なんかじゃなかった。
「うーん・・・じゃ、これは?」
今はお土産選び中。
友好の輪、2日目。
明日で、この楽しい時間も終り。
「ねーえーっ、聞いてる?」
茶色の髪が、ふわっと揺れる。
「えっ・・!?」
「ほーらぁーっ、やっぱり聞いてない!」
ぷくっとほっぺをふくらませると、すねたようにくるっと背中を向けた。
「ごっごめんって・・ば――――――――――っ!」
ふと、目に止まったのはシルバーのペアリング。
これ・・・って。
急いで鞄の中から、昨日引いた恋みくじを取り出す。

