ワがまま王子☆






「ねー、これどーお?」

花音より大きいんじゃないかと思うような、大きい鹿のぬいぐるみを抱き抱えながら、あたしの顔を覗き込んだ。

「えっ!?大きすぎない?」

昨日のことが嘘のように。

明るく、はしゃいだような笑顔で振舞う花音。

泣いて。

泣いて。

泣いて―――――・・・

でもなぜか、昨日の涙は温かくて・・

いつもみたいな、孤独涙なんかじゃなかった。

「うーん・・・じゃ、これは?」

今はお土産選び中。

友好の輪、2日目。

明日で、この楽しい時間も終り。

「ねーえーっ、聞いてる?」

茶色の髪が、ふわっと揺れる。

「えっ・・!?」

「ほーらぁーっ、やっぱり聞いてない!」

ぷくっとほっぺをふくらませると、すねたようにくるっと背中を向けた。

「ごっごめんって・・ば――――――――――っ!」

ふと、目に止まったのはシルバーのペアリング。

これ・・・って。

急いで鞄の中から、昨日引いた恋みくじを取り出す。