ワがまま王子☆




「・・・グスッ・・・ズッ・・」

二人っきりの部屋に、すすり声だけが聞こえる。

「かっ・・花音?」

顔を覗き込むと、涙でぐしゃぐしゃになった顔が見えた。

「みっ未来ぅ~ッ!!!!!!」

いきなり、がしっと抱きつかれた。

「・・へ?」

「なんで・・なんで花音にもっと早く言わなかったの!?」

真剣な表情で、言ってくれる事が嬉しい。

真剣な言葉で、想ってくれることが嬉しい。

真剣な想いで、涙を共に流してくれることが嬉しい―――――――・・・

「か・・のん・・・。」

予想外の涙。

誰にも打ち明けた事がなかった、あたしの過去。

軽蔑されるんじゃないか。

引かれるんじゃないか。

マイナスのことばかりかんがえて。

花音のことなんて、全然分かってなくて。

ばか・・だったよ。






「どうしてッ・・どうして一人で悩んでたの!?」








つーっと頬をつたる、一滴の涙。








知らなかった。

誰かに想ってもらえる事が。

こんなに幸せなことだ、ってこと――――――――