「へー。」

そんな会話をしていると、後ろから声をかけられた。


「あっあの、零サマ・・!!」

相手は、フリフリとした洋服をまとった、可愛い分類に入る女。

「・・はい?」

作り笑顔。

ぼっと頬を赤める女。

「あっ・・あの・・・、一緒に回っていただけませんでしょうか・・・?」

‘ろくに目も合わせれないのに、どうやって一緒に回るんだよ。‘

そんな本心とは裏腹に、出すのは優しい言葉。

「僕なんかでよければ。」

そう、笑顔で返していると拓馬が横から耳打してきた。

「おい、いーのかよ?」

「何が?」

「だーかーらー、他の女子からの視線が怖ぇぞ。」

辺りを見渡してみると、バチバチと音を立てるかのような火花。

「べつに。」

また後ろを振り返ると、不安そうに口に手をあてて立っていた。

「あぁ、ごめんね。行こうか。」

飲み終えたジュースを店の前に置いてあったゴミ箱の中にいれ、鞄を持った―――