「なぁー。」

いきなり肩をつかまれたと思ったら、目の前には拓馬の顔。

「・・何?」

肩にのった手を払う。

「もう少し、明るく出来ないわけ?」

そういって、自販機で買ったジュースを片手に八橋を食べる。

「べつに。」

友好の輪。

今年は、京都と奈良という、定番コース。

「つかさ~、何で未来ちゃんと同じ班にしなかったんだよ~?」

―――っッ。

しょうがない、とは言いがたい。

「べつに。」

上手い言い訳さえ、見つからない。

「ふーん。」

会話、終了。

周りから、刺さるような女からの視線。


「・・たら花音と――――。」


横で、ボソッとした声が聞こえた。

「は?何?」

「なっ何でも!!」

無関心そうだった表情が、一気に赤くなる。

「花音がどうした?」

地獄耳、だから。

「何でもねぇって!!」

顔が赤いのを隠すかのように、後ろを向いた。

「花音と一緒になりたかったとか?」

ふっと軽く鼻で笑うと、拓馬の八橋を一つつまんだ。

「んっんなわけねぇだろッっ!!だっ誰があんなブスと・・ッ!!!」

噛んでるし。

分かりやす。