ピンポーン

部屋で数学の問題集を解いていると、玄関のチャイム音が聞こえた。

生憎、家には俺一人しかおらず。

しかたなく階段をおりる。

未来は、喋りかければ何かと言うが。

心ここにあらずといったような様子で・・

ガチャッ

ドアを開けると、一人の男が立っていた。

「はっろーん♪」

ちゃらちゃらとした容姿。

「・・」

バタン

静かにドアを閉めると、鍵をかける前にまた開いた。

「ちょっと~、何で閉める~?」

ニヤニヤと、得意げな顔で髪を触られた。

「・・・は?」

キッと睨みつけると、おかしそうに腹をかかえて笑い出した。

「あははッ、そんな警戒することなくねぇ?」

もう一度閉めようとしたドアをひじで止めると、真剣な顔つきで見てきた。

「・・何のよう?」

どうせ、未来に会いに来たんだろうけど。

生憎、未来は今出掛けている。

「零くんに、会いたくてさ~♪」


嫌に気持ち悪いくらいの声で、名前を呼ばれる。