〔零side〕

「零サマーッ!!」

教室に入ったとたん、一人の女の子に抱きつかれた。

顔を見ると、花音だった。

「・・なんですか。」

「ちょっ、こっちきて!!」

ものすごい視線を浴びながら、手をひかれて教室を出る。

バタンッ

思い切り教室のドアを閉めると、いきなり肩をつかまれた。

「未来となんかあった!?」

やっぱり。

予想通り、呼ばれた理由は未来だった。

朝から、あからさまに様子がおかしい。

毎日時間をかけてはねているのをなおしている前髪も、今日はそのまま。

制服のボタンも、一段違う。

それに、オーラが普通じゃないんだ。

笑顔さえ、一度も見ていなくて・・

「ま・・ね。」

あったといえば、あった。

「何があったの!?」

真剣な顔つきで、いまにも襲い掛かってきそうな鋭い目つき。

「俺も、よく分からないから。」

‘優‘って男が何か絡んでいることくらいは分かる。

だけど・・

未来に何があったのか、全く分からない。




ただ、恋愛がらみってことぐらいは、分かる。