「・・・く、みーく。」
何で・・だろ。
今さら・・なんで、‘付き合おう‘なんて?
分かってるんだ。
本気じゃないって・・わかってるのに。
どうして、こんなに辛いの――――・・?
「未来、たれてる。」
俯かせていた顔をあげると、零の顔。
「・・へっ!?」
指差された方向を見ると、ポタポタとたれおちるお茶。
「わっ」
どっどうしよう・・!?
ティッシュなんて、持っているはずがない。
一人であたふた慌てていると、ばっと上から黒いものが降ってきた。
「これ、着とけよ。」
「・・え?」
頭の上にかぶさったものを手に取ると、制服のジャケットだった。
「だっだって・・零は・・?」
シャツ一枚じゃ、まだ肌寒い季節。
「いいから。」
返そうとしたジャケットを無理やりもたされ、また購買で買ったパンを食べ始めた。
零は・・
零は、こんなに優しいのに。
一人で、過去から離れられていないあたし。

