ワがまま王子☆



「・・・く、みーく。」

何で・・だろ。

今さら・・なんで、‘付き合おう‘なんて?

分かってるんだ。

本気じゃないって・・わかってるのに。

どうして、こんなに辛いの――――・・?

「未来、たれてる。」

俯かせていた顔をあげると、零の顔。

「・・へっ!?」

指差された方向を見ると、ポタポタとたれおちるお茶。

「わっ」

どっどうしよう・・!?

ティッシュなんて、持っているはずがない。

一人であたふた慌てていると、ばっと上から黒いものが降ってきた。

「これ、着とけよ。」

「・・え?」

頭の上にかぶさったものを手に取ると、制服のジャケットだった。

「だっだって・・零は・・?」

シャツ一枚じゃ、まだ肌寒い季節。

「いいから。」

返そうとしたジャケットを無理やりもたされ、また購買で買ったパンを食べ始めた。

零は・・

零は、こんなに優しいのに。






一人で、過去から離れられていないあたし。