ワがまま王子☆



プルルルップルルルッ

真っ暗な部屋の中、ケータイの着信音だけが鳴り響く。

プルルルップルルルルッ

ただ、なり続けるケータイ。

部屋の隅っこで、丸くなる。

プルルルップルルルッ

あれから、手を差し出してくれていた、零を・・置いて。

一人、どこを歩いているのかも分からずに。

明るい雰囲気の街中を、ただ走って。

プルルルルッ



思い出したくない出来事が。

頭の中をぐるぐると回って。

離れ・・ないんだ。

3年ぶりに見た、優の笑顔が。

焼きついて・・離れないんだ・・。





まるで、今のあたしをあざ笑うかのように止まらない着信音―――・・