プルルルップルルルッ
真っ暗な部屋の中、ケータイの着信音だけが鳴り響く。
プルルルップルルルルッ
ただ、なり続けるケータイ。
部屋の隅っこで、丸くなる。
プルルルップルルルッ
あれから、手を差し出してくれていた、零を・・置いて。
一人、どこを歩いているのかも分からずに。
明るい雰囲気の街中を、ただ走って。
プルルルルッ
思い出したくない出来事が。
頭の中をぐるぐると回って。
離れ・・ないんだ。
3年ぶりに見た、優の笑顔が。
焼きついて・・離れないんだ・・。
まるで、今のあたしをあざ笑うかのように止まらない着信音―――・・

