「ふー・・いいよ~?」
カーテンを開けると、もうそこには零の姿が見えなかった。
「あっあれ・・?」
ふと遠くの方を見ると、綺麗な女の人に囲まれている見慣れた後姿。
「~~っッ、何あれ!?」
思いっきり睨みつけても、全く気づかない。
「・・零!!」
・・名前を呼んでも、返事はなし。
「零ってば・・!!」
試着したお店の服を着たまま、零のところへ行こうと―――――
「何?」
「えッ!?」
いきなり腕をつかまれ、ばっと後ろを振り向くと零がいた。
「なっなんでもない!!」
ひっ人違い!?
恥ずかしさで、耳まで赤くなる。
零だと思ってた人が女の子に囲まれて楽しそうに話してたから嫉妬してたんだ!!
なーんて・・
言えるわけない!!!!!!!!!!
荒くなった呼吸を整え、聞いてみる。
「あのさ・・。これ、どう?」
「・・いいんじゃない?」
興味なさげな声。
「じゃっじゃあ、こっちとこっち、どっちが好み?」
ハンガーにかけてある2枚のシャツを持ち、顔の前にあげる。
「んー・・こっち?」
そういって指差したのはシャーベットピンク色、だった。

