「やだやだやだっ!!絶対無理だって~ッ!!」

教室のドアの前で、泣きそうになりながら話す。

「大丈夫だってっ♪ほら、早く行こうっ♪」

無理やり開けられるドア。

みんなからの視線が注がれる。

ほらぁっ

絶対似合わないんだって!!!

教室に入って、2度目の後悔の波に襲われる。

「あっあれ・・?」

驚きの声をあげる花音。

どうやら、こうなることは予想外だったらしくて。

「ほらぁ・・!!」

ストレートの髪をアイロンで巻いて。

初めてメイクをしてみて。

制服も・・少しだけアレンジしてもらって――――・・・

やっぱ、似合わないんだ!!!

なるべく顔を隠そうと、耳にかけていた髪をおろして下にうつむく。

「・・・わいいっ!!」

どこからか聞こえる、声。

「何々?イメチェン!?」

「かっわいーっ!!」

かっかわいい・・!?

すぐ横をみると、得意げにブイサインをして笑っている花音。

はっ恥ずかしい・・・

普段、人に注目されるの避けてるから――――・・

いざ見られると、顔が赤くなってしまう。

でも・・

でも・・。

零の反応だけは気になる。

制服の隙間から、ちらっと零の席の方を除き見る。

「・・・っ」

特に興味もなさそうに拓馬くんと喋っている零が、嫌でも目に焼きついてはなれない。

そう・・だよね。

当たり前なのに・・

当たり前・・なはずなのに。

何人もの男に‘可愛い‘っていわれるのよりも・・

零が・・





零が。

可愛いって言ってくれるのを・・







あたし、期待してる―――――――――・・・