「ただいまーっ!!」

白くてカントリー風のドアを開け、家の中に入る。

「おかえりー。」

中から女の人の声が聞こえた。

リビングに入ると、キッチンで後ろを向いていた女の人が振り向いた。

「あらっ、お友達?」

その微笑は、どこかしら花音と似ている。

「うんー。今日泊まってもらうのーっ♪」

「そうなの?丁度よかったわ~っ!今日お父さん、飲み会に行っちゃったから・・!!」

一瞬、寂しそうな顔を見せる花音ママ。

「ふーん。あ、未来適当に座って~!!」

「あ・・よろしくお願いします・・!!」

花音と花音ママの何気ない会話が羨ましい。

あたしにも・・

あたしにもお母さんがいたら―――――――――

「みーく?」

いきなり顔を覗き込まれ、はっと我に返る。

「あ、ごめん!!」

‘そーお?‘と不思議そうな顔をして、TVの前にあるソファに深く腰をかけた。

「お母さーん、今日のご飯なにー?」

「からあげよ~。あっ未来ちゃん、からあげ食べれる?」

「だっ大丈夫です!」

安心したようにやわらかく微笑むと、顔を険しくしてTVの前で笑っている花音に言った。

「花音!!ご飯運んでっ」

「・・・ったくー、めんどくさいなぁ~。」

渋々と立ち上がると、皿にのっているからあげを一つつまんだ。

「あっ、今食べたわね!?」

「はへてないほ~?」

明らかにほおばっているのがわかるのに、しらばっくれる。

「も~っ!!」

あきれ返ったように見つめているが、奥には優しさが見える。

「きゃーっ!!未来、逃げよ~っ!!」

いきなり手をつかまれると、花音の部屋につれられた。