〔零side〕
牧野家に来ての初めての朝は、最悪な状態で起こされた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?!?!?」
朝、気持ちよく寝ている俺の耳元で聞こえる女の叫ぶ声。
うるさいな・・。
ゆっくり重いまぶたを開ける。
最初に見えたのが、腰を抜かしている女。
目をこれでもかというほど見開き、動揺を隠せずにいた。
腰を抜かしているかと思えば、いきなり俺の顔の前に来てはじっと見つめるしまつ。
「何見つめてんの?」
「・・・・は?」
なんで起きてんのッ
言葉で言うと、まさにそんな顔。
「あんたさ、もっと色気のあるおこしかたできないわけ?」
叫び声で起こすなんて到底信じられない。
絶対こいつ、男と寝たことないし。
男の免疫がないやつは、からかってみるのが一番おもしろい。
暇つぶしにもなる。
「御代はー。んー、キスでいっか。」
普通・・ここで顔を真っ赤にして、目を閉じるはず・・・だったんだ。
なのに、目の前にいるあいつは、思いっきり俺を突き飛ばした。
ありえない女。
これが、俺から未来への第一印象。