「零ぃ~ッ!!お前、何問解けたー!?」

テスト終了の合図が出たと同時に、後ろに振り返る拓馬。

「全部。」

さらっと素っ気無くいうと、信じられないといったような顔で見てきた。

「まじかよッ!?俺、5問しか解けなかった~。」

絶望的な言葉とは反対に、やけにへらへらしている。

「なーにが、5問しか解けなかった、よっ!!」

地理の教科書で、思いっきり拓馬の頭をたたいた。

・・そう、花音って人。

「ッってぇッ!!!!!!!花音ッお前なにすんだよッ!?」

勢いよく倒れた椅子。

「べっつにー。頭が悪い誰かさんの頭をたたいて、活性力をつけようとしただけー。」

胸の辺りまで伸びた、長い栗色の髪の毛をくるくるといじる。

「~~ッ、頭の悪いって何だよ!?」

「だってそーじゃん。」

また、いつもの痴話げんかが始まる。

中学の時からいつもそう。

高校になっても付き合う様子もなく、ただ変わらずにいるだけ。