「ん゛ー熱っ!!」
明るい栗色の肩より少し伸びた髪に
ストレートをかける。
先週新しく買ったヘアアイロンは
1週間たってもなれない。
派手な化粧をして朝食をとる。
今朝はあたし1人だ。
あたしの家は母子家庭で
母、妹、あたしの3人家族。
小学1年のときから
1人で留守番をしていた
あたしにとって
1人ということは慣れてしまった。
周りからは
「1人でいいな」
「羨ましい」とか言われてきたが…
1人になってわかる
孤独感という恐怖は
自分を壊していく。
ただそれだけのものだった。
実際、好きでいままで…
いや、これからも1人でいるわけじゃない。
仕方がなかった、
たった1人であたしや妹を
支えていく
母にとって長女のあたしが
我が儘をいっちゃいけないから。
4才の時に両親は離婚した。
今でも"あの日"を
忘れることが出来ない。
"あの日"の空は黒く、
部屋は薄暗く、
小さく電気が灯っていて……
水銀が散らばってた。
母は目に涙を溜めて
電話を片手に立ちすくんでいた。
"あの日"以来母は壊れた。

