私の家から東浜高校までは自転車で30分くらいだ。

今の時間は8時10分。

入学式は8時30分から始まる。


...確実に間に合わない。




「菜音〜!!!!」



5m先程前に見える金髪ロングのギャル。
こんなに遠いのに耳がキンキンする程声が大きい。



「おはよ!菜音!」


「どうしたの彩!その髪色はさすがに...」



「入学式だってことで気合い入れてみた!

菜音もそんな地味な茶色じゃなくて彩くらい染めちゃえばいいのに!」



「私はいいや… 似合わないだろうし。」




私自身、結構今の髪色を気にいっている。

今日の入学式のためにおばあちゃんからもらった1万円で美容室にも行ってきた。


今まで割かし明るい色の茶色だったせいか、うまくこげ茶が入っている。

いわゆるアッシュだ。


胸くらいある長い髪も早起きしてゆるく巻いてみたりもした。

おかげで結局遅刻しているが。




「彩、今何時?」



「8時20分。」



「完全に遅刻だね。恥ずかしー。」



「いいじゃーん!逆に目立って顔みんなに覚えてもらえるかもよー?」



「彩は本当に呑気だねー。まあいいや。とりあえず行こう。」