「おはよぉ~」

次の日、いつもの曜に手に果物を持って1歩入りこんだ所で

「来るな、来るな!嘘つきものはどこかへ行け!」

聞こえてきた、どなり声。その声に私の体は硬直した。動けない。
聞こえてきた声に私は床に座り込みオレンジは手から逃げるように転がって行く。
ただ怒鳴り声を聞く事しか出来なかった。

「昨日お前のためにケーキを買ったりクラッカー用意したりヒロたちはみんな集めてくれて、たくさんのひとに迷惑かけてんだぞ?聞いてんのか!!」

いま点滴中で動かないのが一つの安心だ。

ひかるは破天荒で10人相手に喧嘩して勝ったというのが噂になっていた。
そんな人に暴力されたらたまったもんじゃない。

「聞いてるよ・・・でも、嘘つかなきゃいけないことだってある!しかもわたしあんなことやってなんて頼んでないもん!!」

必死に声を絞り出して反発する。

「てめぇっ!」

「自分だって!隠してたじゃん!癌の事。バッカみたい!自分が言えるわけ?本当あり得ないから。」

私はオレンジをつかむとバッグに入れて、立ちあがった。
そして思いっきりひかるを睨みつけた。

「言ったらお前が来なくなりそうで・・・」

えっ?反則技。いきなり何を言い出すの・・・。

「意味分かんない!自分だって同じじゃん!もう、最悪っ!こんな場所二度と来ないから!あんたなんて死ねばっ?」

・・・

私は気づくと家の前で雨に打たれながら泣いていた。なんて事言ったんだろ・・・。