天使のi love you

夏の日差しが照りつける今日。ひかるの誕生日そして夏休みの始まりの日。
ひかるの好きだった『グレープフルーツ』2人ですっぱーいなんて言いながら食べたっけ。なんて思い出しながら病室に急ぐ。

「ひかるー!いぇーい!持ってきてあげたよ~!」

ひかるは目を覚ましているとは私のママに聞いていた。だからハイテンションに見せた。勢いよくドアをあけ、ひかるの所へ行った。

・・・なにその、帽子

少し見ない間に代わっていたのは「普通の病室に移動した」事と「灰色のニット帽をかぶっていた」二つだった。

「ひかるーいぇい!私の大好きなグレープフルーツ持ってきてあげたよ。今切るよ~」

ひかるが好きだった事は言わない。あえて。ばれちゃうから。
そしてニットのぼうしにも触れない。

「よしっ♪」

鼻歌を歌いながらグレープフルーツを切って行く。

「気にならねぇの?」

凄い酸っぱい香りにもう少しで負けるというくらいの小さな声が後ろから聞こえた。