~帰り道~

 翔に振動が行かないように、そっと
 でも早く歩いてきた。
 おかげで俺は超疲れた。
 珍しく息切れなんかもしちゃってる。

「なぁ、龍人」

 突然恭哉が口を開いた。

「ん?」

「”敵”、やめねぇか?」

「・・・ぇ?」

 まさか、兄貴が言ってくるとは思わなかった。

「返事は?」

「できることなら、
 俺もやめてぇ」

 俺が頷きながら言うと、
 兄貴は満面の笑みで言った。

「お前、翔好きだろ?」

「あぁ、好きだ」

「俺も、好きだ」

「・・・」

「でも、”裕美”の時と・・・
 同じことはしたくない」

 






 裕美







 俺と兄貴が恋をし、争った女。







 でも、裕美は転校してしまったんだ。
 

       よ  
 どちらにも偏らないで。