「さっわんな!」

 思わず持っていた辞典でそいつの頭を殴った。

「爽(しょう)さん!
 てめぇ!」

「やめろ」

 もう1人の男が突き出した拳を恭哉が受け止めた。

「松下さん!
 すんません!」

「余計なことすんな」

「ハイ」

 ・・・。
 帰りたい。

「翔、行くぞ」

「待て」

 龍人が私の腕をつかむ。

「翔・・・」

「大丈夫。
 話すだけだから。
 な?恭哉」

「あぁ」

「「「「「呼び捨て?!」」」」」

「おっと。・・・松下さん?」

「翔までやめろ」

 恭哉は心底嫌そうな顔をした。

「んじゃ、恭哉で」