「遅い藤堂ッ!」

「兄貴とケンカしてたんで。
 カットバン持ってないっすか?」

 遅刻理由ケンカ?!マジ?!?!

「今は無ぇ。
 後で保健室行け」

「あ、俺持ってますよ」

 カットバンをスクバから
 取り出し龍人に渡す。

「ん」

 って、よくよく見りゃぁ
 メッチャ怪我してるよこの人!!

「あー笹川。 
 藤堂の治療頼む」

「ハイ」

 消毒液をスクバから出して傷に吹きかける。
 ティッシュで垂れてきた液をぬぐう。
 
「いででででででででで!!」

「ケンカするやつが悪い」

「うるせぇ。
 お前を守っ・・・!」

 ガツッ

「~ッ・・・!!」

「何口走るつもり?」
 
 脛を思い切りけってやった。
 消毒が済んだ場所から次々にカットバンをはった。
 大きい傷からかすり傷まで。
 きれいな顔に計18コ。

「はい、終わり」

「サンキュ」

「先生、終わりました」

「まるで姉さんか母さんだな」

 ・・・女。

「やめてくださいよ。
 せめて兄さんとか、
 弟とか父さんにしてください」

「笹川は女っぽいからなぁ」

「先生までやめてくださいよ」

「ワリィワリィ」

 教室が笑いに包まれる。

「おっと時間だ。
 お前等、授業の準備」