自分の不甲斐なさで、授業にも集中できなかった四時間目の終わり。

渡り廊下の手摺りに凭れて、拓斗は溜息をつく。

そんな彼の傍らを。

『あれ』

背丈ならば拓斗とお似合いの、おかっぱ髪の少女が通りかかる。

「あ…」

振り向く拓斗。

『えーと…』

返答に困る少女。

「確か…城山 小夜(しろやま さよ)さんだよね。龍太郎君の彼女の」

『彼女じゃないようっ!』

小夜はワチャワチャと慌てた。