龍太郎は霧福 満が苦手だ。

嫌な奴だから、という訳ではなく、こちらの考えなど全てお見通しと言わんばかりの洞察力を持っているから。

顔に出したつもりはないのに、満は龍太郎の心の中を読んでいるかのように言い当てる。

「龍太郎、お前は只の人間だろう?神様でも何でもない。助けられない相手がいたって悪い事じゃない。寧ろ自分の事を蔑ろにして他人の事ばかり大切にする方がよくねぇよ…本当のお前を知っている奴が見たら、悲しむぜ?」

「……」

尚も黙ったままの龍太郎。