先程まで感じていた恐怖心が、一気に薄らいでいくような気がした。

「よぉ天音、何か書くものねぇか?」

「え…」

龍太郎の突然の言葉。

天音は言われるままに、古い万年筆とメモ用紙を差し出す。

「ははっ、万年筆まで年季入ってんな、こりゃ」

笑いながら、龍太郎は何事か書き。

「ほれ」

そのメモ用紙を天音に渡す。

「…………」

『正体状』と書かれたメモ用紙。

『招待状』と書きたかったらしい。

「今度は俺が天音を招待すんぜ。天神寮に住んでっからよ、遊びに来い。雛菊やアリスカ、七星もいるから…みんなで歓迎するぜ?」