二階に上がり、廊下を歩く。

…カーテンで遮られた窓の縁に、小さな指人形が幾つも並べられている。

「ただいま」

その指人形にだろうか、天音が告げる。

…人形を集めるのが趣味なのだろうか?

指人形集めならば、まだ少女らしい趣味といえる。

が、先程のマネキンは…。

天音は少々風変わりな女子生徒のようだ。

そう考えながら。

「龍太郎先輩」

突然立ち止まった天音に呼びかけられ、龍太郎はハッとする。

「私の部屋」

彼女はドアの前に立っていた。