「ああ…」

龍太郎の反応に気付いた天音が、表情一つ変えずに言う。

「姉さん…」

「ね、姉さんて…」

目を凝らした龍太郎は、密かに驚かずにはいられない。

階段の途中、中程に立っていた…立てかけられていたのは、ゴスロリ調の服を着せられたマネキン人形だった。

薄暗さも手伝い、目が慣れてくると突然に浮かび上がってくる白い顔は、一瞬人間が立っているのかと錯覚させられる。

「今…帰りました…」

階段を昇りながら帰宅の挨拶をする天音。

「……」

そんな彼女の後に続きながら、龍太郎は表情を硬くする。