チリン…。

透き通るような鈴の音が、耳に届いた。

「?」

何の気なしに振り向くと。

「うおっ!」

龍太郎の背後、まさに至近距離に黒いジャンパースカートの制服を着た女子生徒が立っていた。

物憂げで儚げ、今にも空気に溶けてしまいそうな雰囲気の少女。

しかし、ツインテールの鈴の音が鳴るまでは、龍太郎に全く気配を悟らせなかった。

(何だコイツ…なかなか出来るな…!)

基本スペシャルバカは、『食い物かそうでないか』『強いかそうでないか』の二択でしか物事を判断しない。

そしてこの少女は、気取らせなかった事で文句なしの『出来る奴』の判定を下された。

流石、馬鹿は違う。