「『持って帰ったら忘れてきちゃった』上靴、頼んで持ってきてもらった。」

「………」


嘘だ。私は持って帰ってなんて、いない。
…嘘をついているのは、私か…。


「…どうもありがとう。」

「よかったね、空たん!」

「うん。」


何も知らない中里さんは私に笑って話しかける。
…別に、私の上靴なんて、よかったのに。高校入った頃はたまに靴隠しもあったし。慣れているのに。
こう、優しくしてもらっちゃうと、この優しさに慣れてしまう。
あ、鈴村さんは、優しさじゃなくて私を守る命なのか。

私はきれいな上靴を履く。
丁度良いタイミングでチャイムが鳴り、生徒達が席に着く。
一人の女子生徒が私の上靴を見て一瞬、目を見開いた。


「………」


この人が私の上靴をどこかに…?普段、私をイジメたりはしないけど、たまに暴言吐いたりしてたっけ。

なんとも思わなかったけど。