「――っ」


私はとっさにナイフを蹴り飛ばす。…私の足は誰かの手と共にナイフを蹴った。


「ぐっ……」


飛んでいったナイフに目もくれず、誰かは キッ と仮面の下から私を睨む。
そして何も言わずにフラつきながら走り去ってしまった。

駆け付けた男二人は、私の顔を覗き込む。


「大丈夫か?!」


石を投げたと思われる茶髪でタレ目の男の人が問う。
私は直ぐに答えた。


「ええ、大丈夫よ。助けてくれて、ありがとう。」


男二人はなぜかスーツを着ている。
見た感じ、私とあまり年は変わらないと思うけど…。
それにここは学校。なぜ部外者がここに…?

冷静に頭の中で考えていると「いやー、すごく冷静だね!」と私の思考の邪魔をする。


「お前ももう少し冷静になれ。」


もう一方の黒髪で長身の男の人がナイフを拾いながら言う。