「うっわ!落ちたし!」

「最悪ー。取ってこいよ、山崎!」


周りの人は見ないフリ、気付かないフリ。
私は毎日こんな感じだ。
…もう慣れたけどね。

私はため息をこぼしながら廊下へ出た。


その姿を見ている人がいるとは知らずに


校舎の裏に回ってボールを捜す。
黄緑色のバスケットボールくらいの大きい柔らかいボールは直ぐに見つかり、私はボールに駆け寄った。


ザ……


私の足音とは違う音が私の敏感な耳に届き、振り向く。

その瞬間


ガ……!!


誰かの右手は私の銅、左手は私の首をがっちりと後ろから引き寄せられていた。
私の首を引き寄せる手には鋭く光ったナイフが。