春の記憶

私のパートは幅跳び。
踏み切った後まるで
空を飛んでいるような気持ちになれる。
それが楽しくて、入部してから
ずっと幅跳びをしている。

「また記録伸びない…」

だけど、最近なかなか
良い記録が出ない。
試合が近くて、余計に焦ってしまう。
頑張らなきゃ!
もっと跳ばなきゃ!
そう思えば思うほど。

「一之瀬!
 もっと強く踏み切らないと。
 そんなんじゃ他中に負けるぞ」

顧問の先生に呼ばれて軽いお説教を
受ける。

『他中に負けるぞ』

その言葉がプレッシャーへと変わる。

それから何回も跳んでみたけど
なかなか記録は伸びないまま
今日の練習は終わってしまった。


帰り道
梨乃とは道が違うから
一人で帰る。
大きな川沿い。
トンネルのように周りには
満開の桜。

「はぁ…。」

だけど、私の口から出るのは
ため息だけ。