春の記憶

だけど、この日私たちは
久しぶりに勉強から解放されて
とにかく楽しんでいた。

カラオケに行って、葵と空が熱唱する。
その二人を見て笑う亮と私。

携帯がずっとなってたなんて
気がつかなかった。



部屋に戻ったのは夜の11時だった。
皆に迷惑にならないように
葵と静かに部屋に入った。

携帯を見ると
何度も電話がかかってきてたみたい。

「…っ梨乃!」

思わず声に出して言った私。

「中学の友達ー?どしたの?」

葵はそう聞いてきたけど
わたしは、ごめんと言って廊下に
出た。

もう遅いから電話をするのはやめようと
思ったけど、流依の事かもしれないと
思うと、電話をかけずにはいられなかった。

「もしもし、梨乃。
 気づかなくてごめん。
 何か…あった?」

「あず、流依が…
 病院にいないの。」

病院にいないって…。

「あずにはどうしても言えなかった
 んだけど、2週間前に意識が戻ったんだ。
 でも、記憶を失ったみたいで…。
 私達のことも全然、覚えてなくて
 それで、今日、病院にいったら
 退院してどこにいるか分からないって」

梨乃の話はあまりにも突然で
私は理解が出来なかった。