春の記憶

なさ高校での生活が始まった。

私は三木 葵と仲良くなった。
「ねぇ、あずはさ彼氏とかいないの?」
「…うん、いないよ」

あの時、私たちは別れたままだった。
気持ちを伝えることもできず。
花束を受けることも出来ず。
すれ違った。

「あぁ、葵、彼氏ほしいなぁ。
 看護師だったら、患者さんとの
 禁断の恋とかぁ、あはは」

「それはだめでしょ!」

恋愛の話になるといつも思い出す。
でも、梨乃からの知らせはまだ来ない。
電話をする時間もなかなかないままで。

このまますれ違って終わってしまうの?

そう、不安で仕方なかったんだよ。