春の記憶

私が涙を流しながら
そう言うと流依は手を
ゆっくりと放した。

馬鹿。
流依の馬鹿。
なんで放すの?
私が納得するような言葉を。
私が不安にならない言葉を。
教えてよ。話してよ。

だけど、私が放してって言った。
嫌だって言った。
私の言ってることおかしいよね。
矛盾してる。
本当に馬鹿なのは私なのに。

だけど、キスしてるところなんて
見たら、不安になるよ。


私は流依がいる反対の
方向に歩く。
少し歩くと、雄大と梨乃に会った。

「流依、いた?」

そう聞いてきたけど
私の涙を見て、何かがあったと
思ったみたいで。

「どうしたの?」

心配そうに聞いてくれた。

「あんな馬鹿、ほっとこ。」

流依が私以外の人とキスなんて
するわけがない。
きっと何か理由があるんだよ。