「美月さん、着きました」
「ありがとう」
車から降りようとすると柴田が扉を開けてくれる。
どこかのお嬢様みたいで、注目を浴びる。
だから電車で行きたかった。
「おい、あいつどこかのお嬢様かよ」
「芸能科でもないのに送り迎えかよ」
周りの声が聞こえる。
中学は車の送迎はない。
近いし、困らない。
別にお金持ちなわけでもない。
お父さんがトップな立場だけど…。
でも、豪邸に住んでない普通の一軒家。
車がベンツだけど。
でも、いたって普通の家でただ、給料が高いだけなの。高いだけ。
「美月様、お帰りは…」
「プリントに書いてあった通り。
遅くなるなら連絡する」
そう言えば、頭を下げて柴田は会社へと向かった。
携帯。
GPS機能付き。
もし、私が夜遊びやお父さんの言う道にそれてしまわない様にする物。
次女、睦月姉が夜遊びをして道にそれてしまってから、私には監視がついた。
それが柴田だろう。
薄々気付いていた。
でも、忘れられない。
睦月姉が家を出て行った時のお父さんの顔。
苦しくて、胸を締め付けられる。
お父さんにあんな顔をさせたくない。
そう思った。
